「いつか使おうと考えている物」の中で、理想の自分に近づくために持ちつづけている物を野望ガラクタといいます。
野望ガラクタが多くて断捨離が進まない原因は人間なら誰もが持っている「無価値感」かもしれません。
無価値感とは「自分には価値がない」と思ってしまう感覚で、これが強いと野望ガラクタのような自分の価値をあげる(と思われる)物を溜めこみやすくなります。
この記事では無価値感とうまく付き合って野望ガラクタを手放す方法を紹介していきます。
「なりたい自分」のカケラは捨てられない
自分の価値をあげる(と思われる)物というのは、「将来こうなりたい」「自分の成長につながりそう」「こういうことをしている自分でありたい」と思える物です。
自分の価値をあげるために手に入れて、ちゃんと利用しているなら問題ありませんが、いつまでも着手せずにいると野望ガラクタになってしまいます。
たとえばこんな物です。
- いつか受けようと思っている語学や資格試験の教材
- いつか読み返そうと思っているセミナーの資料
- こんな自分になりたいと思って買った服やコスメ
- 役に立ちそうだと思って買ったまま読んでいない本
- 変わった料理やお菓子を作りたくて買ったキッチングッズ
- 忙しくてやる時間が取れていない趣味の道具
「野望ガラクタ」というワードは『筆子ジャーナル』の筆子さまの造語だと思われますが、わかりやすく汎用性が高いのでよく使用しています。
購入するときに「これを使って価値の高まった自分の姿」を想像できたとしても、実際に使用していないのであれば自分の価値は1ミリも変化していません。
ですが、まったく使用していなくても、いざ捨てるとなると「成長した未来の自分」を捨てるような気持ちになってしまいなかなか手放せないのが野望ガラクタのやっかいなところです。
野望ガラクタが捨てられない原因は「無価値感」
無価値感とは、「自分には愛される資格がない、取り柄もいいところもない、誰からも大切にされない」といった、自分のことを価値のない人間だと感じる感覚のことです。
この無価値感は特別なものではなく、人間なら多かれ少なかれ誰もが持っている感覚であり、それ自体が悪いわけでは決してありません。
「今の自分のままでは価値がない」という感情があるからこそ、成長したい成功したいという欲求が生まれて人は努力をすることができるのです。
ただ、無価値感が行き過ぎると自分よりできない人を見下すことに繋がったり、人間関係に執着してしまったり、なにかあるたびに自分を責めすぎてしまったり、といった弊害が出てきてしまいます。
こえりも無価値感が強く出やすいため、「たぬきのこえりですらできたのだから、できないのは努力が足りないのでは?」と冷たい目で見てしまうとか、対等ではない人間関係に「この人がいなくなってしまったら自分を必要としてくれる人は他にいないから」と依存してしまったことがありました。
こうした感覚に強く支配されていると、野望ガラクタを捨てることが無価値な自分のままでありつづけるということを意味してしまいます。
このように、野望ガラクタは無価値感と強く結びついているため簡単には捨てられません。
ですが野望ガラクタは「自分の未来のために買った物を使っていない自分はなんてダメなんだ」というメッセージも同時に発しているため、持ち続けていてもストレスがかかります。
そのため、野望ガラクタはそのまま置いておくのではなく
- 実際に使う
- 捨てる
という選択をする必要があります。
無価値感と野望を深掘りしていく
実際に使うといっても手持ちの「いつか使う」物を全部使おうと思ったらおそらく年単位、人によっては十年単位の時間が必要になるでしょう。
そこでまず先決すべきは自分の無価値感と野望に向き合い、本当に必要なものを厳選していくことです。
野望ガラクタと向き合えば、自分がどうなりたいのか、人からどう思われたいのかといったことがわかります。
こういった掘り下げをする際は、紙に書いて思考整理をするのがおすすめ。
- どんな自分になれると思ってこれを買ったのか
(例)資格を取って転職したい、丁寧な暮らしをしたい - 放置している理由
(例)仕事が忙しくてやる気がおきない、時間がない、難しい
など、書き出して客観的に見ると、自分自身に対して「転職をしたいのに今の仕事が忙しくてできないというのはただの言い訳では」といったようにツッコミを入れたくなることがあると思います。
そういったときはもう一段階深く探ってみます。
- どうして「そんな自分」になりたいのか
- 今の自分のままではなぜダメなのか
などと自分に問いかけてみると、「今の仕事から現実逃避したかっただけかもしれない」「今の自分ではパッとしないから人から一目置かれるような会社に転職したい」など、自分では気付けなかった本音が出てくるかもしれません。
そこからさらに深掘りすれば「自分はいったい何を恐れているのか」といった無価値感の根っこを知ることができます。
「他者から無能だと/だらしがないと/不細工だと思われたくない」と恐怖を抱くのは、「他者からそのように思われている自分には価値がない」と思っているからです。
自分に自信があれば人からどのように思われようと気にならない、という考えもありますが、人間である以上は他者評価を完全に無視して生きていくことはできません。
だからといって他者評価に自分を合わせようとしても、本心が望んでいなければ結局野望ガラクタが増えてストレスの種となってしまいます。
そこで、さらに踏み込んで自分自身の望みを探ってみましょう。
- 他者からの批判が何もない世界だったら自分はどんな風にありたいのか
- その理想の自分でいるために必要なのはなにか
ここまで深掘りできれば野望ガラクタの中から自分に必要なものを残すことができます。
残したものは実際に使う
自分にとって必要な物の基準がわかっても、実際に使わなければ野望ガラクタのままです。
- 資格試験を申し込んで今日から1ページずつでも進める
- セミナー資料を読み返して大事なところだけ書き出して捨てる
- 服を着る
- 積読を読み始める
- 趣味の時間を確保する
など、さっそく今から行動に移しましょう。
残した野望ガラクタが多いと一気に手を付けるのは難しいかもしれません。
そうした場合は手を付ける順番を決めて順番に使っていきましょう。そして、使い終わって必要がなくなったら手放します。
手放すことを意識しているだけで「早く使わなければ」と自分にはっぱをかけることができます。
順番を決めたけれど3ヶ月や半年経っても手を付けられなかった、という場合もあるかと思います。そういう物は自分にとって本当には必要でなかったということなので手放してかまいません。
また、積読や参考書など、順番をつけてみたら着手が1年以上先になるものについてはいったん手放すことを考えてみるのもいいでしょう。
最初のうちは処理していくスピードよりも新しい野望グッズを入手するスピードが速くなりがちなので、定期的に優先順位をつけなおすことをおすすめします。
まとめ:無価値感と上手に付き合おう
無価値感からは誰も逃れることはできませんが、無価値感から他者の評価に依存的になると野望ガラクタが増えてしまいます。
自分が何を恐れているのかを把握し、自分軸でなりたい姿を描けるようになれば野望ガラクタを手放せるようになります。
ただし自分の思考も無価値感の元となる恐怖も野望も日々変化していくため、定期的に自分自身の棚卸しと野望ガラクタの棚卸しをしていくことをおすすめします。