他の人と自分を比べてしまい、自分のがんばりや気遣いが報われていないように思えてモヤッとしてしまうときというのは、がんばりすぎていることで視野が狭くなって思い込みや認知の偏りにおちいってしまっている場合があります。
自分の考え方の癖を把握し、普段の生活でモヤモヤする機会を減らす方法として、思考法を紹介していきます。
思考は紙に書いて整理する
脳内のモヤモヤを紙に書き出すことで頭の中がクリアになります。
PCやスマホの容量が増えてきたときにオンラインストレージや外部メディアにファイルを移動させるように、脳内でごちゃついている思考もいったん外に取り出して整理しましょう。
思考整理の方法としては下記のようなものがあります。
- ブレインダンプ
- ゼロ秒思考
- モーニングページ
ブレインダンプ
テーマを決めて頭に浮かんだことをすべて紙に書き出し、頭をクリアにする思考法です。
ブレインストーミングを一人でやるようなイメージです。
ゼロ秒思考
ゼロ秒思考は、テーマにそったアイデアを出すのに向いている思考法です。
1つのテーマにつきA4用紙1枚、所要時間1分で思いついたことを箇条書きに書き出していきます。
深掘りしていくことでアウトプットにも活用できます。
モーニングページ
モーニングページは、朝いちばんに脳内に浮かんだことをそのまま書き出す方法です。
テーマなどは特に設定せず、ノート3ページ分書き出します。
モーニングページを続けると頭の中がクリアになって一日のストレスがかなり減るので、まずはモーニングページから始めてみることをおすすめします。
具体的な悩みがある場合やモヤモヤが強い場合はブレインダンプやゼロ秒思考をすることで自己を客観視して解決の糸口をみつけやすくなるでしょう。
同じテーマで手法を変えて何度も書き出してみると、自分でも思っていなかった本音に気付けることがありますので、一度で終わりにせずぜひくり返し掘り下げてみてください。
書きながらテーマを深掘りする
テーマを設定して書き出してみると、書きながら次のテーマが浮かんでくるようになります。そこでまた浮かんだテーマについて書き出す……と、少しずつテーマを深掘りして書いていくと、だんだんと自分の感情や思考が整理されていきます。
ですので最初に設定するテーマはなんでもかまいません。
特に浮かばない場合は「今の自分の感情」などをテーマにしてみるといいと思います。
そこで「モヤモヤ」「イライラ」「悲しい」と3つの感情が出てきたとしたら、次はその感情にフォーカスして、「何に対してモヤモヤしているのか」「どうして悲しいのか」などと深掘りしていけばいいのです。
また、同じテーマについて何度も書くのも思考が深まるのでおすすめです。別の日に書いてみるとまた違った視点から書けるかもしれません。
ちゃんとしたことを書こうとする必要はありません。
誰にも見せないものなので自分の秘密を書いてもいいし汚い言葉遣いでも大丈夫です。誰かに見られるのが不安なら、書いてすぐシュレッダーにかけてしまいましょう。
事実と想像を切り離す
テーマについて深掘りしていく際にぜひともやってもらいたいのが、事実と思い込みを切り離すということです。
たとえば、「人知れず雑用をしている自分よりも手抜きをしているAさんの方が職場で評価されている」という悩みを例に解説します。
「人知れず雑用をしている自分」
人知れずと考えているのは自分の想像なので事実かはわかりません。
「私は雑用をした」
→事実です。
「わたし“だけ”が雑用をした」と考えている場合は想像の可能性があります。
「手抜きをしているAさん」
→Aさんが手を抜いていると感じているのは自分(や周りの人)の主観です。
自分が人知れず雑用をしているように、Aさんも人知れず何かをしているかもしれません。
また、その雑用自体が本来手をかける必要がない仕事で、正しい対応をしているのはAさんの方という可能性もあります。
「Aさんの方が職場で評価されている」
→評価が数値などをもって公表されている場合は事実ですが、上司や同僚などの反応からそのように感じているのであれば想像です。
このように、私たちの頭の中では事実と想像が混同されがちです。
そもそも他人の感情を正確に想像することはできませんし、する必要もありません。
私たち自身も頭の中で考えていることと表に出す言動は異なります。
例えば嫌いな人が退職するとき、嘘でも「寂しくなります」とか言いますよね?それを「本当はせいせいしています」とか「好きだったので悲しいです」とか解釈されたいでしょうか。文字通り「寂しくなります」と受け取ってもらいたいのではないでしょうか。なので、よっぽどのことがない限り他者の言動の裏を不必要に読まない方が対外的にも精神衛生上も無難です。
また、思い込みの中には常識や「べき」も含まれます。自分では絶対的な基準だと思っていても他者にとってそうではない場合、自分の常識を他者に当てはめて勝手にイライラしている……なんてことにもなりかねないので注意が必要です。
頭の中で作り出した想像に悩まされることほど不毛なことはないです。
思考の癖を分析する
書き出した紙を読み返して、客観的に自分の感情と向き合ってみます。
書き出してすぐに読み返してもいいですし、数日前に書いたものを(シュレッダーしていなければ)読み返してみてもいいです。読み返しているうちに新たなテーマが湧いてきたら、それを基にしてまた書き出してみるのもおすすめです。その際に「視点・視座・視野」を変えて書くとさらに客観視が進みます。
こうして自分の気持ちを書き出し客観視する、という作業をくり返していくことで自分の考え方の癖に気付けるようになってきます。もしかしたら意外な解決法に気が付くかもしれません。
感情を言語化してメタ認知ができるようになってくると、他人の発言で傷付いたり裏を読んで振り回されたりといったことがなくなってきます。
まとめ:他責モードは一利なし!思考法を取り入れて楽になろう
私自身はタヌキを自称しているだけあって昔からコミュ障陰キャで人間関係が苦手だったのですが、こうしたワークを続けた結果、今では苦手な人はほとんどいませんし、人間関係で悩むことは皆無です。「モヤッ」ときたときは新しい自分を知るチャンス!とさえ思えるようになりました。
認識が変わるだけで楽になる人間関係は思っているより多いので、こうした思考法をぜひ日常に取り入れてみてください。
習慣化については「意志の力に頼らない!心理学の知識をつけて「低負荷&まったり」習慣化しよう」を参考にどうぞ。